ブランドを立ち上げるぞ!商標登録体験記①~基礎知識習得編~

商標登録関係

筆者は個人事業主としてブランドの立ち上げを考えていますが、ブランド名は従前から温めてきた大切なものですし、誰かに奪われるわけにいかない・・・ということで、特許庁に商標登録をすることにしました。さらに、弁理士にはお願いせず、自力でやってみることにしました。

せっかくなので、商標登録に至るまでの体験を、ここに記しておこうと思います。同じように考えている方の参考になれば嬉しいです。

なお、筆者は弁理士でも何でもない素人です。従前から商標法の知識があったわけでもありません。故に、勘違いしている部分や、間違っている部分もあるかもしれません。あくまで素人の体験記としてお読みください。

まずは、体験記①として、商標についての基礎知識を学ぶところから始めました。記事の内容としては、同じようにゼロから学ぶ方にはちょうどいいレベル感かもしれません。

すでにある程度の知識がある方は、このページに書かれている内容よりも、特許庁のHP(初めてだったらここを読む~商標出願のいろは~ | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp))や、各弁理士HPのほうがきっと正確&情報量が多いので、そちらをご覧いただくほうがよいかと思います。

①商標とは

商標とは、事業者が使用するマーク(ロゴ)のこと。こういうものですね↓

トヨタ様の図形商標。
文字列のみなので、これは文字商標。
スタバは文字+図形の結合商標

商標とは次の2点を満たすものを指します。

(1)事業者が使用するマーク

(2)自己の商品・サービスと他人の商品・サービスとを区別するために使用するマーク


引用:初めてだったらここを読む~商標出願のいろは~|特許庁

②商標の種類

特許庁によると、商標は全部で下記10種類です。

・文字商標(文字のみからなる商標)
・図形商標(図形のみから構成される商標)
・記号商標(記号、記号的な紋章の商標)
・立体商標(立体的形状からなる商標。ペコちゃん人形等)
・結合商標(文字、図形、記号、立体的形状の二つ以上を組み合わせた商標)
・動き商標
・ホログラム商標
・色彩のみからなる商標
・音商標
・位置商標

参照:2022年度知的財産権制度入門テキスト(特許庁)p.76~
https://www.jpo.go.jp/news/shinchaku/event/seminer/text/document/2022_nyumon/1_2_4.pdf

2022年度知的財産権制度入門テキスト(特許庁)

筆者が商標登録しようとしているブランド名は、Panasonicのように、文字だけで構成された商標なので、『文字商標』に該当しそうです。

ちなみに、調べていくと、どうやら「標準文字商標」というのもあるみたいですが、フォントにこだわりがある場合は、通常の「文字商標」でいいようです。

③商標権は指定した商品・サービスの範囲にしか及ばない

商標は、「マーク」+「使用する商品・サービス(役務)」のセットで登録されます。商標権の効力が及ぶのは、指定した「商品・サービス」の範囲だけなので、要注意。

商標権は、マークとそれを使用する商品・サービス(役務)との組み合わせから構成されます。

マークが同じでも、使用する商品・サービスが類似しなければ商標権の効力は及びません

引用元:事例から学ぶ商標活用ガイド経済産業省 特許庁 | 2019年

なお、「商品・サービス」には、それぞれ所属する『区分』があります。

例えば、”被服”の区分は「第25類」、”カバン”なら「第18類」に区分されます。

後述しますが、商標を取得する際には手数料がかかります。この手数料は、『区分』が増えれば増えるほど倍数的に手数料が発生しますので、要注意です。一方で、同区分内の商品・サービスであれば、指定した数によって手数料が増えることはありません。

また、特許庁のQ&Aには、

出願後に新しい商品・サービスを追加することはできませんので、出願前から、今後の事業展開も見据えて、権利化する商品・サービスの範囲をしっかり考えることが重要です。

引用元:事例から学ぶ商標活用ガイド経済産業省 特許庁 | 2019年

と記載されているとおり、”商品・サービスだけを後から追加”ということはできません。追加したい場合は、新規出願ということになってしまいます。

したがって、ブランド名を商標登録するときは、ロゴマークを考えるだけでなく、「どんな商品・サービスを展開するか」も併せて考える必要がありそうです。例えば、「身飾品(アクセサリー)」しか作らないなら「第14類」だけでよいですが、「頭飾品(髪飾り)」も作るとなると「第26類」も必要となって、手数料はほぼ倍増になります。また、「第14類」の中には、身飾品だけでなく、時計等もあります。商品・サービスとして指定するのは、「身飾品」だけでよいのか、「時計」も指定するのか、考えてから出願する必要があります。あとから時計だけを追加することはできないからです。

・・・とはいえ、あんまり悩んでても仕方ないし、先のことはどうなるかわかりません。筆者の考えとしては、とりあえずは、現段階で確実に作る「商品・サービス」とそれに紐づく「区分」を指定しておけばよいのでは、と考えます。そして将来、展開する商品・サービスが増える見込みがたったら、それはそのとき、新規出願するか等を考える、という流れでいいのでは。(お金に余裕がある人は別ですが。)

なお、商標出願の際の、商品・サービスの指定の仕方は、こちら↓↓を必ず読んでから。

商品・役務を指定する際の御注意 | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)

特に重要だと感じた部分を引用すると、

願書に記載できる指定商品・指定役務は、願書に記載の商標を使用又は使用する予定があるものに限られます。

そのため、願書に記載された指定商品・指定役務が一つの区分の中で広い範囲に及ぶ場合などは、商標法第3条第1項柱書に基づく拒絶理由を通知して、商標の使用又は使用の予定について、書面をもって確認を行う場合があります。確認の目安としては、1区分内における類似群の上限数は、「22個」としています。確認が求められた場合には、指定商品・指定役務について商標を使用している又は使用する予定があることを証明するためのカタログやパンフレットなどの資料を提出する必要があります。

引用元:商品・役務を指定する際の御注意 | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)

あまりにたくさん(23個以上)の「商品・サービス」を指定すると、「本当に使用予定があるのか?」と疑われてしまうということですね。

また、体験記⑤でも述べていますが、もしも商標を既に自分で使用していて、早期審査制度の利用を考えている場合は、こちらも是非読んでから商品・サービス名を指定すべきです。
商標早期審査・早期審理の概要 | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)

「商標法施行規則 別表(第6条関係)」、「類似商品・役務審査基準」、「商品・サービス国際分類表(ニース分類)」に掲載されていない商品・サービス名を指定していると、早期審査の『対象3』になることができないからです。

④商標を取得するメリット

商標は、正式に特許庁に登録された場合、他者が勝手に使うことはできなくなります。逆に言えば、商標を登録しておかないと、どこか別の誰かに勝手に使われたときに文句が言えないことになります。

商標権があると、他人の紛らわしい商標(マークも同一・類似で、使う商品・サービスも同一・類似)は登録されません。また、紛らわしい商標を無断で使用された権利者は、裁判所に対して使用差止や損害賠償を請求できます。さらに、商標権があると、税関における輸入差止や警察による取締りが可能となります。

引用元:事例から学ぶ商標活用ガイド経済産業省 特許庁 | 2019年

ここまでの内容は、特許庁の公開資料1枚にきれいにまとまっています。

特許庁HP掲載資料から転載。

⑤商標権を取得するのにどれくらい時間がかかるのか

商標登録の出願から商標権を獲得するまで、どのくらいかかるのか。

特許庁の統計資料によると、2021年度における平均FA期間(出願から一次審査通知までの期間)は8か月出願から権利化までの期間は平均9.6か月とのことです。

引用元:特許行政年次報告書2022年版|特許庁

出願から1次審査通知まで、約8か月です・・・結構かかりますね。

ちなみに、2019年6月の時点では、約10か月かかっていたそうです。

出願から最初の審査結果の通知まで、平均約 10 か月

引用元:事例から学ぶ商標活用ガイド経済産業省 特許庁 | 2019年

2年で2か月も短縮されたんですね。それでもまだ、「8か月もかかるんだなあ。」という印象です。8か月も待たされる行政の手続きなんて、他に聞いた試しがないです。(「人を増やせばいいのに」「外部委託すればいいじゃん」と思ったりもしますが、きっと予算的にOK出ないんでしょうね・・・そこらへんは筆者も公務員だったのですごーくよくわかります(笑))

ところで、この8か月は、あくまで「出願から」の時間です。
商標登録は、出願に先がけて、出願料(後述)を納付する必要があります。この納付方法、色々種類があってややこしい・・・いや、選択肢が多くてありがたいというべきか・・・

手数料の納付方法(オンラインで手続される方)
オンラインで手続される場合、以下の方法によって料金を納めることができます。

予納
納付すべき手数料をあらかじめ予納し、手続きごとに必要な手数料を予納した額から充てることにより納付する方法です。予納の方法は「銀行振込による予納(現金納付)」と「電子現金納付による予納」があります。

現金納付
手続きする前に特許庁専用の「納付書」を用いて、銀行や郵便局の窓口で必要な手数料を納付する方法です。

電子現金納付
手続きする前に電子出願ソフトを利用し、手数料の納付が必要な手続きごとに納付番号を取得し、その納付番号でPay-easy(ペイジー)が利用できる金融機関のインターネットバンキング又はATMから手数料を納付する方法です。

口座振替
特許庁への口座振替が可能な金融機関に口座を開設し、あらかじめ申出人・金融機関・特許庁の三者間での契約に基づき、特許庁が指定口座から手続きごとに必要な手数料を国庫に振替え、納付する方法です。

指定立替納付
申請人が手数料を申請書面において指定立替納付者(クレジットカード会社)に立て替えて納付させることを希望する旨を申し出ることで、クレジットカードを利用し納付する方法です。

引用元:手数料の納付方法(オンラインで手続される方)

私は一番上に書いてある『予納』にしましたが、ちょっと手続きをミスって、システム上でサクッと発行できる予納台帳番号を、別途書面で請求する羽目になりました。これに時間が結構かかりました・・・

しかも、電子納付なら早そうだけど、Pay-easyがよくわからなかったもんで、現金の銀行振込を選択しました。そうすると、特許庁に納付書を請求する必要が発生して、ここでもまた時間がかかるという。

ちなみに、一番下の『指定立替納付』は、特許庁のHPを見たときに見落としていました。いわゆるクレジットカード払いですよね?たぶん。なんだか難しく書いてありますが。だとすると、これが一番早そうというか、手間が少なそうです。経験していないので何とも言えませんが。

とりあえず、どれでもいいのでさっさとお金納めて、早く出願したいところですね。

ところで、③でも少し触れましたが、早期審査という制度があります。これは、「商標登録はこれからだけど、すでに商標を利用している」場合等に使える可能性があります。詳しくは特許庁HP(商標早期審査・早期審理の概要 | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp))をご覧ください。

早期審査を使った場合、

  • 通常の審査・審理に比べて、審査結果・審理結果を早く得ることができます。
  • 早期審査を申請した出願の平均審査順番待ち期間は、早期審査の申請から平均2.1か月となっており(2021年実績)、通常の出願と比べて大幅に短縮されています。
引用元:商標早期審査・早期審理の概要(令和4年8月)特許庁HP

『審査順番待ち時間』とかいう新たなワードが出てきましたが、通常8か月かかるところ、約2か月ぐらいに短縮されるということでしょうか?だとすると、極力早期審査を使うほうがよさそう。管理人の場合は、商標を登録しないまま使ってきたので、カタログもあるし、きっと対象になるはず。早期審査、使ってみようと思います。(これについては、体験記⑤にて。)

⑥商標権の取得にかかる費用は?

商標権を取得するためには、なんと、手数料がかかります。
以下の3段階で費用がかかります。

1.出願段階:3,400円+(8,600円×区分数)
2.登録段階:32,900円×区分数(効力10年の場合。5年なら17,200円×区分数。)
3.更新段階:10年毎に、区分数×43,600円

なかなか高い・・・1区分だけ登録しても、出願時に12,000円、登録時に32,900円、合計45,000円もかかるし、10年で更新するたびに43,600円かかり続けます。

そして③で述べたように、指定する区分が増えれば増えるほど、ほぼ倍数的に金額が膨れ上がります。

これは・・・何としても事業を成功させて、元を取らなければ笑

余談ですが、出願にあたっては、書面手続きよりもオンライン手続きをおすすめします。書面で手続きすると、電子化手数料として最低でも3,200円かかりますし、郵送にかかる手間と時間も発生します。

電子化手数料は、1件につき2,400円に書面1枚につき800円を加えた額です。

例えば、商標出願を書面で提出したとき(商標願1枚)の電子化手数料は、
2,400円+(1枚×800円)=3,200円 となります。

また、複数の手続を一度に書面で提出した場合は、各手続(1件)ごとに算出することとなります。
例えば、特許出願の審査請求書(1枚)と同時に手続補正書(2枚)を書面で提出したときの電子化手数料は、

  • 1) 特許出願の審査請求書分として2,400円+(1枚×800円)=3,200円
  • 2) 手続補正書分として2,400円+(2枚×800円)=4,000円


1)+2)=7,200円となります。

引用元:書面で手続する場合の電子化手数料について 特許庁

オンライン手続きは、マイナンバーカードと、マイナンバーカードの読み取りに必要なICカードリーダーがあればできます。ICカードリーダーはAmazonで1,000円~2,000円ぐらいで購入できますから、電子化手数料よりもずっと安いです。それに気づいた筆者も、人生で初めてICカードリーダーを買いました。それに、ICカードリーダーは確定申告等、色々使い道がありますし、この機会に1台買っても無駄になりません。

以上が、体験記①~基礎知識習得編~でした。

次は、体験記②~事前準備編~です。

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